「家族は知らない 真夜中の老人ホーム やりきれなさの現場から」川島徹 祥伝社

訪問診療では自宅のみではなく、有料老人ホームなどの施設も伺います。利用者さんと施設の相性もあるかとは思いますが、施設で幸せそうに過ごしている利用者さんもいれば、早くあっちの世界に行きたいなどの発言のある方もいます。施設のおおまかな状況は周囲の雰囲気からある程度推測できますが、診療では診察時のひと時を見ているのみなので推測の域を出ません。普段の生活のことはわからない部分も多い。おそらく施設のスタッフも一生懸命に自分のできることしているのであろうが、施設の理屈が過剰に利用者に押し付けられていないか、日頃から疑問に思うところはあります。この書は、多くの施設が抱える問題の一端を表していると感じました。介護士である筆者の目線は医療職というよりは一般の方の目線に近い。